美容クリニック経営の失敗事例3選!抑えるべき考え方をご紹介
こんにちは。メディカルフォースマガジン編集部です。
美容クリニックを経営していく上で、ずっと付き合っていないといけないリスクとして「倒産」「閉院」といった「失敗」があることはいうまでもありません。
ほとんどの医師が過去に別の病院やクリニックで勤務し、一念発起して自ら開業をする形式になります。開業する前には「これまで医師としてやってきて、独立しても腕は間違いないからやっていけるだろう」と考えた結果、開業してから頭を抱える方が後を絶ちません。
本記事では序盤から本質的な部分に入り込みますが、「医院で雇用されて働く」に対し、「医院を経営する」のはほとんど別物であると考えてください。
今回は、「医院を経営する」という視点を持ってもらうことを前提として、経営で失敗しないためにはどうすべきかをテーマに、実際の失敗事例を交えて、美容クリニック経営の失敗の本質に迫っていきます。
本記事を読むことによって、
- 美容外科経営の失敗事例
- 美容外科経営の失敗を回避する方法
について知ることができます。
1. 美容外科は儲かるが倒産・失敗リスクもその分大きいって本当?
美容医療は保険診療ではなく、自由診療が主な領域となるため、法律の規制が保険診療に比べて緩和されております。
そのため、経営の仕方次第では大きく利益を上げることが期待できます。
一方、倒産するリスクも高く、ハイリスク・ハイリターンであるということがいえます。
ハイリスクと言われる要因について、最も大きい要因としては「初期費用の高さ」が挙げられます。
他の診療科目と比べると美容は単価が高い反面、安っぽい内装や通うのが面倒な立地では集患が難しく、さらに医療機器を全て揃えるとなると開業前にまとまった費用が必要になります。
最初に大きな出費をしてもすぐに回収できるのであれば問題ないですが、クリニックに限らず、何か事業を始める、経営を始めるとなるとすぐに回収することは一般的に難しいのが現実です。
ですから、早く費用を回収していくためには集客・集患の戦略が非常に重要です。
特に、美容皮膚科の場合は新規患者を集めて、いかにリピート・定着してもらえるかが売上の根幹になります。
それ以外で収入の柱を作っていくことは難しいため、集患ができないとクリニック経営にダイレクトに傾く可能性が生じます。
本記事では、具体的な失敗事例を交えながら、どうすれば経営を失敗させることなく安定させることができるかを解説していきます。
2. 美容外科の失敗事例3選!
前章では、美容クリニック経営がハイリスク・ハイリターンであることを説明しました。
本章では、ハイリスクを抑制できずに実際に失敗に陥ってしまった具体的な事例を3つご紹介いたします。
①経営計画が甘く開業資金をかけすぎてしまう
美容クリニックの売上をみると、「こんなに売り上げてるんだから最初に費用をかけてもすぐ返せるでしょ」と考えてしまう開業医の方も多いようです。さらに、開業コンサルタントの方からもそそのかされて、初期費用をかけすぎてしまう事例もあります。
資金計画を甘く見積もった結果、想定通りに集患することができず、銀行借入の返済が進まず、黒字化するまでに数年かかってしまったという失敗談があります。
大切なのは、初期費用をかけすぎない、ということではなく、中長期の売上見込みを堅実に出したうえで、どのくらいの単価の患者をどのくらいに費用で集患できればよいか、を考えることです。その上で、最初は上限いくらまでなら出せそう、という目標を定めることが重要です。
そのプロセスを経て初めて、どの立地でどのくらいの内装にするのか、どの程度の医療機器を揃えるのかを決めることができるため、開業資金を必要以上にかけすぎるという事態をふせぐことができます。
②クリニックのコンセプトがなく集患ができない
①の資金・経営計画の部分と同時に重大な要素が「コンセプト」になります。「自分の医院の強み・売り」が何なのかということです。
実際の事例で、個人院でありながらコンセプトを明確にしないまま運営をスタートし、想定をはるかに下回る集患数となった結果初期費用の回収に時間がかかり、経営がままならなくなってしまったケースがあります。この事例では、「お金をかけて広告さえ打てればおのずと患者は来てくれるだろう」という思い込みが裏目に出た結果大手クリニックの広告に負けてしまい、売上が伸び悩むことになりました。
これに対する施策としては、広告を出す前、そもそも資金計画を練る段階で、自分のクリニックが近隣と比べて何に強みがあり、その強みを落とし込んだ訴求は何なのかを数パターン考えておくことが重要です。
③雇ったスタッフが定着せずマネジメントがうまくできない
3つ目は、実際に患者が来るようになり、スタッフを増員してから発生するケースです。
クリニックを経営していく過程で、どこかのタイミングで人手を増やして対応患者数を増やしていく必要ががあるため、人事やマネジメントの業務が発生します。
そこで起きるのが、お金をかけて採用したスタッフが現場業務に慣れずにすぐに退職してしまうケースです。
その結果、経営者である医師が本来集中したい経営実務や医療行為に時間を割けなくなってしまい、患者が離れていく事例があります。
定着しない要因は、条件や待遇、人間関係等でクリニックごとに要因は分かれますが、マネジメントの観点から対策を考えると「定期的にコミュニケーションを図る」機会を設けることが有効です。ただし、マネジメントの施策についてはすぐに効果が出ず、半年~1年の時間をかけて徐々に効果が出始めるため、すぐに効果が出なくても続けていくことが重要になります。
もう気づいているかもしれませんが、実は美容クリニックの経営において、失敗の要因はほとんど開業前にあります。開業前にしっかりと準備をすることでこれらの失敗を防ぐことができます。開業を焦らず、しっかりと基盤をつくる準備をすることが大切です。
業後の成功をイメージするあまり、足元の地道な計画や現実的数値に目を背けてしまうことがないようにくれぐれも留意してほしいです。
3. 最後に
これまで、失敗談を中心に話を進めてきました。
失敗を回避するために重要なのは、開業前の「資金計画」と「集患戦略」を優先的に練ることです。
開業コンサルタントに頼ることも重要ですが、一度ご自身で経営に向き合い、失敗するリスクがないかを見つめ直してみるのが良いと思います。