美容クリニックの物件はどう選ぶ?コツと注意点をご紹介
こんにちは。メディカルフォースマガジン編集部です。
今回は、美容皮膚科・美容外科の開業を検討している方向けに、クリニックの「物件」の選び方について解説します。
「これから開業する予定だけど、物件をどう選べばいいかわからない」、「これから開業するが、物件選定時のコスト相場がわからない」という方に読んでいただきたい内容になっています。
本記事を読むことによって、
- 物件を選び始める前に必ずやるべきこと
- 物件選びの考え方とコツ
- 物件選びで注意すべきポイント
について知ることができます。
目次
1.物件を探す前に必ずやるべき2つのこと
本題に入る前に、物件を選ぶ前に必ずやらなければいけない2つのことをご紹介します。
これを知っておかないと、効率的に物件選びをすることができなくなってしまうため、注意しましょう。
①事業計画書を作成し、費用のかけ方を決める
開業や分院展開をする上で必要となるのは、支出のプランを立てることです。
特に美容クリニックは、医療機器や内装など、他の診療科目よりも多額な初期費用がかかります。
そういった初期費用を考慮する必要があるため、開業・分院展開準備の段階で事業計画書をつくる必要があります。
立地、機器、内装、採用などスタートするにあたり、それぞれどのくらい費用をかけられるかを固めることで、立地(物件、不動産)にかけられる費用を把握することができます。
事業計画書上で物件にかけられる費用の上限を決めたうえで、物件を探す中でどうしてもその上限を超えそうな場合は、他の部分で費用を抑える、もしくは資金を調達する術を探すなどの方法をとりましょう。
②物件を決めるまでのスケジュールを立てる
事業計画書を決めて、物件にかけられる費用感がある程度わかったら、次は「いつまでに物件を決めるのか」を決めることが重要です。
なぜなら、物件の決まる時期がわからないと、内装の見積もりや、どの機器を何個導入するのか、スタッフを何人採用しなければいけないのか、について考えることができないからです。
物件をいつまでに決める、というスケジュールを区切ることができれば、検討期間にダラダラと時間をかけて開業が後ろ倒しになることを防ぐことができるのと、意思決定の速度をあげることができます。
美容医療市場は大きく成長しており、より競争が激化していく業界のため、開業や分院展開のスピード感も重要になってきます。
物件の決定はなるべく早く済ませ、集患やスタッフ教育などの後工程に余裕をもって開業を迎えられるようにしましょう。
2.物件選びにおける優先順位を決める
まず、物件選びのコツとして覚えていただきたいのは、何を最優先として物件を決めるかを先に設定しておくことです。
優先順位をつけておけば、不動産屋とのコミュニケーションも円滑になり、要望通りの物件が見つかる可能性が上がります。
優先順位を決める上で考えるべき項目は以下の5つです。
①立地
立地は重要な要素の一つで、どの駅を最寄りとするかを決める必要があります。
美容クリニックの場合は保険診療とは違い、「最寄り駅にあるから」という理由で患者が来ることは少ないです。
そのため、遠方からの患者が多く来ることを想定し、ターミナル駅など商業地域での開業が一般的にはおすすめです。
②距離・アクセス
地方で開業する場合は、駅から遠くても駐車場を用意すれば良いという考え方もありますが、都心の主要な駅で開業する場合は可能な限り駅から近いことが望ましいです。
しかし、そうなると相対的に賃料も上がりますので、どこまで許容できるかによります。
そのため、多少駅から遠くても、HPで道順を動画や画像で詳しく載せておくなどの対策をする必要があります。
③形態(戸建て、テナント、モールのどれにするか)
美容クリニックでの開業では主に、戸建て・テナント・モールの3つの形態に分類されます。
それぞれメリット・デメリットがありますが、初期費用・内装や設備のレイアウトの自由度・患者の獲得しやすさの観点で差が出てきます。
戸建て | テナント | モール | |
初期費用 | △ | 〇 | 〇 |
レイアウト自由度 | 〇 | △ | △ |
患者の獲得 | △ | △ | 〇 |
総合的には「モール」が最もおすすめとなります。
逆に、戸建ては初期費用も高く、患者の獲得のしやすさも他の形態に比べて困難であるため、こだわりが特にない場合は避けた方が良いです。
④坪数
部屋数や医療機器、諸々の設備を考慮した上でどのくらいの広さが必要なのかを逆算し、必要な坪数を把握します。
当然広くなればなるほど賃料は上がりますが、その分坪単価は下がることが多いです。
駅やモール、テナント次第でどのくらいの広さを取れるのかが変わります。
⑤賃料
開業するにあたって初期に最も悩むのが「賃料はどのくらいが適正なのか」という点かと思います。
場所や規模感によって大きく変わってくるため、一概には言えないですが、目安として一般的には売上の6~7%程度が良いといわれています。
この数字は、医院経営やクリニック経営の経営支援を専門にしている税理士事務所が出している数字ですが、事業計画上の想定月額収入から算出して目安を決めておくとよいでしょう。
出典:http://tsuruda-tax.com/qanda/qanda_management/rent.html
以上の5つでどこにこだわるのかを決めておくことがスムーズな物件選びを進めるコツになります。
3.物件選びにおける注意点
続いて物件を選ぶ上での注意点を3つお伝えします。
①立地戦略
前章でも上げていますが、改めて注意点として認識しておくべきなのが立地戦略に基づいて物件を選んでいくことです。
特に、周囲の競合について理解した上で選ぶことが重要です。
当然、主要駅であるほど競合も多く、既に営業して一定の患者を獲得されてしまっている可能性が高いです。
ただし、その分ターゲットである患者の母数も多いです。
他のクリニックと比較したときの強みの観点から考えて、競合の多い立地で開業しても勝ち筋が見込める場合はそこまで気にかける必要はないですが、多くのケースでは先行者優位が働き不利になるため、競合の状況はよく吟味してから物件を選定しましょう。
②広さ・高さ
次に注意したいのが広さと高さです。広さについては前章でも述べていますが、実は美容クリニックは高さも重要になります。
なぜなら、医療機器を搬入する際に一定の高さが必要になるからです。
目安は「2.4m以上」と覚えておくと良いでしょう。
③電力設備と水回り
最後に電力設備です。
どのくらいの電力に耐えられる設備があるか、という点に注意を払う必要があります。
必要な電力については導入機器によって変動するため、事前に確認しておくと良いでしょう。
また、同じく水回りについても確認しておきましょう。
意外と見逃しがちな点でありますが、実際に営業を開始すると重要なポイントですので、留意しておきましょう。
4.【まとめ】総合的に判断しつつ、取捨選択をする
これまで、物件選びのコツと注意点をメインテーマとして解説していきました。
物件を選んでいく上では、複数の要素を見る必要があり、すべてを自分の理想値に合わせていくとなると現実的にかなり難しくなります。
開業までのスケジュールがある中、限られた期間の中で最良の物件に出会うためには、自分が経営したいクリニック・医院に必要な項目の優先順位を予め決めておきましょう。
経営でも必要になりますが、総合的に俯瞰したうえで取捨選択することを念頭において自院にあったベストの物件を探しましょう。