一等地は危険?美容クリニックの開業をする際の穴場スポットをご紹介!
こんにちは。メディカルフォースマガジン編集部です。
今回は、美容クリニックの開業や分院展開を検討中、もしくは既に準備を進めている方向けに、クリニックの「立地」について解説していきます。
物件や内装も美容クリニックにおいては重要であることは他の記事でも解説していますが、それ以前に開業エリア、つまり立地を選定するのも非常に重要な要素の1つです。
他の診療科目と同様に、周囲の他のクリニックの数や、商圏人口をみて、開業資金の中で最適な場所を選定していかなければならないため、物件選びや内装選定と並んで立地選びは難易度が高いといえるでしょう。
内装についての解説記事はこちら
本記事を読むことによって、
- 立地選定でのNG
- 立地選定のコツ
- 現在穴場の商圏
について知ることができます。
目次
1.「一等地に構えれば儲かる」という考え方は危険?
立地となると、「一等地に出すのが良いのでは?」と考えることも多いかと思います。
しかし、「一等地」だからといって安易に選んでしまうと危険です。
確かに一等地といえば「アクセスの良さ」「人口の多さ」「土地へのイメージ」など美容クリニックにとっては好条件のように思えます。
しかし、逆に言えば多くの競合も同じことを考えているはずです。
つまり、既にたくさんのクリニックが存在してしまっており、集患するのが難しい可能性があるということです。
加えて、一等地はその分固定費が高く、集患に成功しない限り中々利益が残らないというリスクもあります。
また、そもそも開業するのにもまとまった「費用」も必要です。
初期費用は「内装」や「医療機器」でもかかってくるため、全体的な費用バランスをみて決めていかなくてはなりません。
2.立地選定のコツは「コスパ」を最優先事項に置くこと
続いて、どんな立地を選ぶべきかのコツについて解説していきます。
まず、資金にかなりの余裕があるのであれば、都内の一等地を選んだ方が良いです。
ただし、開業時からそこまで資金的な余裕がある方は多くないでしょう。
では、どんな場所がベストなのでしょうか。
それは、潜在顧客が多いかつ、比較的安い立地を狙うのがベストだと考えられます。
つまり、立地の「コスパ」が良い場所ということです。
コスパの良さを選定していくためには、該当地域の「潜在顧客数」と「坪単価」の両者をみていくのが良いでしょう。
人口は、美容クリニックにおいてはメインターゲットが女性になるので、女性の人口を見ていくことで試算することができます。
実際に、具体例として23区内のどこかで美容クリニックを開業しようと考えている人のケースを想定して試算を行います。
まず、東京都23区の女性の人口を下記の東京都が出している統計から洗い出します。
参考:東京都の人口(推計)
その中でも美容クリニックに通う可能性のある潜在顧客数は、おおよそ人口の10%と言われているため、女性人口×10%で算出できます。(あくまで推定値であり、その比率は立地によって異なります。)
その後、各区別のおおよその坪単価を調べていきます。
坪単価については、「坪単価=費用➗坪数」で出すことができます。
下記のような物件検索サイト(今回は居抜きとしています)から数件の物件を検索し、5件程度の平均値を取ると大方の数字を算出できます。
今回は、東京都のど真ん中に位置する「千代田区」と「渋谷区」を例に挙げて算出します。
千代田区の場合は、女性の人口が2021年6月時点で「33,365人」であるため、潜在顧客数は推定「3,336人」となります。坪単価はおおよそ2~3万円(20坪~30坪)です。
渋谷区の場合は、女性の人口が2021年6月時点で「122,129人」であるため、潜在顧客数は「12,212人」となります。坪単価はおおよそ4~5万円(20坪~30坪)です。
つまり、坪単価あたりの潜在顧客数は、
千代田区 :3,336人/3万円=1,112人(坪単価1万円当たりの潜在顧客数)
渋谷区 :12,212人/5万円=2,442人(坪単価1万円当たりの潜在顧客数)
となりますので、渋谷区の方がコスパは良さそうであるということはいえそうです。
ただし、競合数や資金的な状況についてはこの試算では分からないため、この調べ方である程度絞ることができたら、さらに細かく競合や資金の観点から判断してきましょう。
3. まだまだこんなある!穴場の商圏をご紹介
続いて、坪単価、潜在顧客数のバランスが良く、コスパの高い穴場の立地を紹介していきます。
今回紹介するのは、以下の3つの地域です。
- 横浜
- 大宮
- 池袋
※各数値の参照元はこちらです。
※美容クリニックの店舗数は美容外科、美容皮膚科を対象としています。
※人口については、各自治体が公表している2021年6月のデータに基づいて算出しております。
※坪単価については、こちらのサイトの物件で表示される5~10件分の物件の坪単価を平均で算出しております。
①横浜(ターミナルとなる西区・中区・神奈川区中心)
美容クリニック店舗数:40件
女性人口数:約25万人
坪単価(20~30坪):1~1.5万
特徴:東京にも近く、神奈川では主要な地域である「横浜市」です。横浜駅近くになればなるほど坪単価は上がっていきますが、人口数に対しての坪単価は都内に比べると安く、美容クリニックの店舗数も人口に対しては多くないことがわかります。
②大宮
美容クリニック店舗数:17件
女性人口数:約6万人
坪単価(20~30坪):1~1.5万
特徴:埼玉県の「大宮市」です。近年、都内に出るためのハブの駅としても注目されておりますが、現在はまだ美容クリニック数も少なく、坪単価も安価といえます。
東京都や神奈川県から電車で通える範囲であるため、大宮市自体の人口は少ないですが、県外からの患者の流入も狙うことができます。
③池袋
美容クリニック店舗数:45件
女性人口数:約15万人
坪単価(20~30坪):2万)
特徴:新宿駅、渋谷駅に次いで世界第3位の利用者数になります。競合のクリニック数は都内である分、1駅単体で横浜と同程度になりますが、都内の中では坪単価も安価で潜在顧客数を多く見込むことができます。
4.【まとめ】立地は物件と内装を見据えて検討していくのがマスト!
これまで、立地をテーマに選び方のコツや穴場の地域・商圏について解説してきました。
今回は立地にフォーカスしていきましたが、全体の費用とのバランスで決まるため、立地を決めた後の物件や内装の選定を見据えて考えていく必要があります。
もちろん、クリニックによってどこにどのくらいの費用をかけるのかが変わってきますが、特に美容クリニックの開業においては内装と医療機器の初期費用がかさむため、その部分を考慮して立地についてどのくらいの費用を捻出できるか決めましょう。
今回の記事に関連する、物件や内装についての記事は下記から確認できますので、是非一読ください。