美容皮膚科の開業手順とは?開業時の注意点と合わせて解説!
こんにちは。メディカルフォースマガジン編集部です。
二重術埋没法、ヒアルロン酸注入、ボツリヌス注射など、いわゆる「プチ整形」と呼ばれる施術が一般的になってきたことで、近年美容皮膚科に対する需要が大きくなってきました。
それに伴って、独立し、自らの美容皮膚科を開業したいと考える方も多くなってきています。
今回は、美容皮膚科の開業を検討している方に向けて、開業のために必要な準備について詳しくご紹介いたします。
本記事を読むことによって、
- 美容皮膚科を開業するための具体的な手順
- 美容皮膚科を開業するために必要な期間、資金
- 美容皮膚科を開業後に気を付けておくべき準備
について知ることができます。
目次
1. 美容皮膚科の開業にはどんな手順が必要?
美容皮膚科の開業には、約6ヶ月-1年半の期間が必要であると言われています。
具体的なステップは下記です。
- クリニックのコンセプトを決める
- 開業土地を決める
- 事業計画を作成する
- 資金を調達する
- 行政手続きを済ませる
- 診療所の工事を行う
- 医療機器・人材を準備する
①クリニックのコンセプトを決める
美容皮膚科の開業を検討している方は、第一にクリニックのコンセプトを決める必要があります。
コンセプトとは、具体的に下記を決定することを指します。
- どのような顧客を取り扱う皮膚科にしたいのか
- どういった施術を行う皮膚科にするのか
- どのような手法で顧客を集めていくのか
- どの程度の事業規模を目指した皮膚科とするのか
これらを決めることによって、あなたがどんなクリニック経営をしていくべきかという軸ができることになります。
コンセプト次第で、次以降のステップで取るべき選択肢が変わってきます。
また、クリニックの名称はコンセプトに沿ったものとするのが良いでしょう。
②開業地を決める
クリニックのコンセプトが決まったら、それに沿った開業地を決めましょう。
あなたのクリニックのコンセプトが「地元のお客様を対象とし、地域に根ざした皮膚科」というものであれば、あなたの地元での開業を検討するのが良いでしょう。
しかし、いかに地元に根ざした皮膚科にしたいと思っていても、そこに美容皮膚科を求めている人がいなければ、収益をあげられず長期的な皮膚科経営をすることができません。
そのため開業地は、より多くの顧客が集まる場所を選択すべきです。
一般的に、美容皮膚科に対する需要は都市部に近づくほど高まると言われていますが、だからと言って東京の都市部で開業するというのが必ずしも正しいわけではありません。
それは、下記の理由があるためです。
- 都心部には競合が多く、競争優位性がないと顧客を確保できないため
- 都心部に近づくほどテナント料などの初期費用が高くなってしまうため
理想の開業地としては、美容皮膚科に対する需要はあるものの、まだ他皮膚科などが参入していない土地ということになります。
③事業計画を作成する
開業するということはすなわち、事業を起こすということになります。
事業を成功させるには、そのための計画、すなわち事業計画の作成が必要になります。
事業計画を立てる目的は、下記の2つになります。
- 皮膚科を運営するために必要なアクションを明確にすること
- 公的・民間の金融機関や投資家などから資金を調達すること
美容皮膚科を開業するためには、やらなくてはいけないことがたくさんあります。
事業計画を引くことで、それらをどのような順序で、どのように進めるべきなのかを明確にする必要があります。
また、事業計画がなければ次のアクションである資金の調達ができません。
資金援助、融資する側としては、無計画な事業に対して投資をすることはリスクであるためです。
また、自己資金で開業を考えている場合にも、どの程度の初期費用がかかるのかが明確でないと、開業することはできません。
そのため事業計画の作成は必須となります。
④資金を調達する
十分な事業計画を立てられたら、次は資金を調達しましょう。
資金調達の方法は、主に下記の3つになります。
- 自己資金を資本として差し入れる
- 公庫からの融資を受ける
- 創業補助金や助成金をもらう
美容皮膚科を立ち上げるには、5,000~8,000万円の資金が必要だと言われております。
そのため、自己資金だけで開業資金を賄うのは、よほどの資金力がない限り難しいです。
融資を受けたり、助成金をもらったりすることで開業の資金を集めましょう。
助成金は、都道府県や地域によってもらえる金額などが異なるため、一度ご自身の地域のホームページをご覧いただければと思います。
⑤行政手続きを済ませる
行政手続きを済ませなければ、開業は完了しません。
自由診療を個人で開業する場合、提出が必要な書類は下記になります。
保健所 | ・診療所開設届 |
社会保険事務所 | ・健康保険 ・厚生年金保険新規適用届 ・新規適用事業所現況書 ・健康保険 ・厚生年金保険被保険者資格取得届 ・健康保険被扶養者(異動)届 |
労働基準監督署 | ・労働保険 保険関係成立届 ・労働保険概算/確定保険料申告書 |
公共職業安定所 | ・雇用保険適用事業所設置届 ・雇用保険被保険者資格取得届 |
税務署 | ・個人事業開廃業等届出書 ・源泉所得税納期の特例の承認に関する申請書兼納期の特例適用者に係る納期限の特例に関する届出書 ・青色申告承認申請書 ・青色事業専従者給与に関する届出書 ・たな卸資産の評価方法の届出書・減価償却資産の償却方法の届出書 |
労働基準監督署 | ・労災保険指定医療機関指定申請書 |
消防庁/一般財団法人日本防火・防災協会など | ・防火管理者講習(収容人数30名以上のクリニックの場合) |
行政手続きを行うには、必ず最初にクリニック開業予定地の管轄する保健所に相談に行きましょう。
開設届自体は開設後10日以内に提出する必要がありますが、保健所への相談はもっと事前に行う必要があります。
なぜなら、保健所での相談では院内のレイアウトやクリニック名称など、様々な点でチェックが入るからです。
そのため、次のステップである「⑥診療所の工事を行う」の前に相談に行かなくてはなりません。
⑥診療所の工事を行う
保健所のチェックを終えた後、診療所となるテナントの工事に取り掛かります。
内装工事を行ってくれる業者は複数ありますので、費用などをもとに選択するのが良いでしょう。
ここで注意しておきたい点は、下記です。
- 費用の相場を知っておく
- 必ず最低3社は見積りを取る
1点目の「費用の相場を知っておく」について、これを知らないと相場よりも高い費用で工事を行ってしまい、損失につながってしまう可能性があります。
もちろん開業する土地によって単価は変わってくるものですが、おおよそ坪単価で40万円程度だと思っておくと良いでしょう。
2点目の「必ず最低3社の見積もりを取る」に関しても、理由は同じです。
見積もりを取ることで、より良心的な事業者を選ぶことができ、費用を抑えることができます。
⑦医療機器・人材を準備する
資金の調達の目処が立ったら、皮膚科経営に必要な機材や人材の確保に動きます。
機材に関しては、あなたがどんな施術を担うかによって仕入れる物が変わってきます。
クリニックを開業する方は、自分が行う施術などはある程度決まっていると思いますので、ご自身の施術に沿った機材を調達しましょう。
また、医師や看護師、受付スタッフといったスタッフの採用も必要になってきます。
医師の採用は、タウンワークやリクナビなどの通常の求人サイトでは難しいです。
e-doctorやm3.comなどといった、医師の求人に特化した求人サイトを使いましょう。
看護師の採用も、通常の採用媒体の活用はおすすめではありません。
ジョブメドレーなど、看護師に特化した求人サイトがおすすめです。
また、indeedや求人ボックスなどの求人検索エンジンの利用もおすすめです。
一般的な求人サイトは、「1週間掲載で50万円」など、掲載期間に対して費用が発生します。
一方で検索エンジンは、「求人に興味を持って1回クリックしたらいくら」など、成果に対して費用が発生します。
求人がクリックされる率や、クリックされた求人から応募に繋がる率などを把握できるため、効率的に採用するためのPDCAを回すことができます。
2. 美容皮膚科の開業における注意点とは?
美容皮膚科の開業における最も大きな注意点は、開業して終わりではないということです。
つまり、開業時から開業後のクリニック経営をうまく行かせる準備が必要になります。
クリニック経営をうまく行かせる準備とは、大きく下記の2つに分けられます。
①クリニック経営を効率的に行うための仕組み化
クリニック経営を効率的に行うための仕組み化として第一に挙げられるのは、効率化ツールの導入です。
具体的には、電子カルテや予約管理システム、在庫管理システムなどです。
特に電子カルテは、最初の導入が重要です。
なぜなら、移行に最も手間がかかるのが電子カルテだからです。
例えば、紙カルテから電子カルテに乗り換えるには、クリニック内でカルテを電子化し、取り込むといった作業が必要になります。
電子カルテから別の電子カルテの移行においては、紙カルテよりは負担は小さいですが、データの変換など間違いなく手間がかかります。
そのため、開業を検討している段階から質の高い効率化ツールを探しておくことは非常に重要です。
電子カルテサービス、予約管理サービスの比較記事は下記になるので、気になった方は目を通してみてください。
美容皮膚科の予約システムは何を使えばいい?おすすめ5選を紹介!
②売上を最大化させるための集患
業務の効率化の準備ができたら、あとは集患を最大化させることで売上を伸ばしていくだけです。
近年非常に重要になってきているのがWEB、SNS上での集患です。
方法は、Google、Twitter、LINE、Instagramなど様々なありますが、複数を目的に応じて使いこなしていく必要があります。
主には下記の通りです。
認知拡大 | Twitter/Instagram |
興味促進 | Google/Instagram/YouTube |
CRM(訪問率向上・リピート最大化) | LINE |
特に、初期においてはTwitterとGoogleが鍵になります。
Twitterでは、クリニック情報などを発信して認知を拡大していくことは重要です。
TwitterはSNSの中で最も拡散力の高いメディアで、対象患者にリーチできる可能性が高いためです。
一方でGoogleには、クリニックに関する情報を網羅的に掲載します。
患者は必ずといっていいほどクリニックに関する情報を調べるので、Google My Businessなどを通してサイトへの訪問率を上げましょう。
Instagramは、写真を通してクリニックの雰囲気や施術紹介を掲載していることが多いです。
これによって患者は「このクリニックは信頼できそう」などの印象を覚え、興味を持ってくれる確率が高まります。
YouTubeも同様ですが、Instagramの方が手軽でリーチ率は高いでしょう。
LINEは、顧客との関係構築に役立ちます。
一度クリニックを訪れてくれた顧客にクーポンを配布したりすることで再訪率を高めたり、リマインドメッセージを送ったりすることができます。
いずれにせよ、開業してからこれらの準備をしていては遅いです。
開業前から見込み顧客にアプローチしておくことで、いざ開業するとなった時に興味を持って訪問してくれる患者が増えるためです。
3. まとめ
いかがだったでしょうか。
今回の記事では、美容皮膚科の開業における具体的な手順、また開業時の注意点に関して解説しました。
特に、今回注意点としてご紹介した「開業はすればいいものではなく、開業後の準備が必要」だということは心に留めておいていただきたいです。
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